在庫の足数合わせ
家業の靴の小売店に入った頃、店舗数は40店舗位あったが、管理面には力をかけていなかった。粗利率も34%位で、「中小企業の原価指標」の靴小売店の平均と同じ位だったと思う。会社の規模からは37~38%位はあっても良いのではと言われた。
棚卸は決算の年1回、予め手書きの棚卸台帳に商品名を書き出し、仕入伝票をめくって仕入原価を記入する、そして商品を数えながら、商品名の横に正の字で足数を入れていく。
実地棚卸が終わると、電卓で集計する。大変な作業だし、誤りがない訳がない。
まず、人材派遣でEXCELの打ち込みに熟練した人に1週間程来てもらい、電卓の集計をEXCELで行うように変えた。次に棚卸の頻度を3ケ月に1回にした。
そして、在庫の足数合わせを行ってみることにした。「期末在庫数=期初在庫数+仕入足数-売上足数+店間移動入荷数-店間移動出荷数」だ。期間が3ケ月ならば、どうにか足数合わせのためのデータを集められる。
驚いた。3ケ月で数百足単位の靴が足りない店が沢山あるのだ。仕方がないので、極秘で信頼できる社員を集め、顧問税理士さん達にも手伝ってもらい、在庫の合わない店の精算レシートを一斉におさえた。
精算レシートを見て、また驚いた。どう見ても内部不正を疑わざるを得ない状況だった。
結局、多くの店長にやめて貰わざるを得なかった。古参の幹部社員も殆どいなくなった。残念だった。
自分は、不正はする方が悪いが、十分な牽制措置を取らない会社はもっと悪いと思っている。
仕方がないので、POSレジを入れて、まず部門管理から始めた。PBを始める時に単品管理を始めた。導入に反対する人は社内に残っていなかった。