青山商事の価格大幅改定(値下げ)戦略

青山商事が10月から価格を大幅改定(値下げ)したという記事を見て、客数が伸びない時代の経営戦略として、その成否に興味を持った。
案の定、10月の既存店月次売上高前年比は72.1%、11月も82.1%と厳しい数字が続いている。

紳士服業界の価格表示は、景品表示法上問題があるとして、消費者庁の勧告を受けたことがある。今回の価格の大幅改定は、消費税の引上げに合わせて、お客様にわかりやすくすると共に、景品表示法上の問題を払拭しようとするものだろう。

価格改定の一例として、4万9000円のスーツが2万9000円になるというのを見て、引き下げ幅の大きさが気になっていた。自分のように多少業界知識を持っている者からすると、大変真面目でストレートな戦略で好感が持てる。しかし今まで4万9000円でお買い求めになっていたお客様はどのように感じるのだろうか? そして、これだけ単価が下がったら、同じ売上高を確保するのは大変だ。

決算書を見ていて気が付いた。今迄の得意客は離れていく危険があるが、それを承知の上の、自己資本が厚い青山商事ゆえに取りうる戦略なのだ。
情報較差がなくなる時代に、新規顧客を継続的に獲得して企業を存続させるためには、今までのやり方を変えるしかない。短期的にはマイナスだが、長期的に考えると、今やるしかない。 アメリカンイーグルで大幅な特別損失を計上した時だからこそやる。 そういう思いを感じる。

売上高は厳しいが、客数は10月の81.6%から93.0%まで回復している。
これからの推移を見守って行きたい。