㈱アマガサの新株予約権の行使と株主総会での議決権

今日(2020年3月5日)、㈱アマガサの新株予約権が行使されたとのリリースがあった。

リリースを読むと、当初の行使条件である「すべての取引金融機関との間で借入金の返済を2021年4月まで猶予する旨の返済条件変更の合意書を締結する」ことが出来ないので、
① 当初の合意を上回る115万株を行使して貰って約3億円の資金を調達する、
② 4月の株主総会では115万株分の議決権を行使できることとする(当初は支配株主(創業者の天笠悦藏氏)の持株数と同等の100万株までとしていた)、
③ 当初は長期保有としていた株式の内、60万株の売却を4月の株主総会後に認める、
ということが書かれている。

本来4月の株主総会で議決権がない株主の議決権を認め、更に株主総会後はその株式の売却を認める、会社法上適法と判断しているのだろうが、不思議な話だ。
自分は株主でないので論評する立場にないが、長期に保有している株主は、どうお考えなのだろうかと思う。

(追記)2020年3月6日
気になるので、手持ちの本(「会社法」高橋美加他著、2016年3月、弘文堂)で調べてみた。
今回の経営陣の対応は、会社法上議論の余地がありそうだ。論点になりそうなのは、
① 売却予定の一時保有の株主に、特例として議決権を認めることの是非
② 当初予定の100万株を、115万株に増やすことの必要性(=3,960万円を追加調達する必要があるのか)

創業者の天笠悦藏氏が、臨時株主総会の招集請求を行ったのは、昨年(2019年)9月である。
経営陣が8週間以内に株主総会を開催しない場合には、株主は裁判所の許可を得て自ら株主総会を開催できるので、これを行使すれば良かったということになるのだろうか?

婦人靴業界を取り巻く環境は、新型コロナウィルスの感染拡大で更に厳しさを増している。
経営陣も株主も、このようなことに時間を割く余裕はないと思うのだが。