ジーフットの四半期決算と在庫評価方法

ジーフットの2020年3月-5月の四半期決算が公表された。
コロナウィルスの影響から、赤字決算になるとは予想していたが、結果は売上高140億円(前年同期比54%)、営業損失41億円、当期損失42億円の大幅赤字である。
1日遅れでチヨダの決算が公表されたが、こちらの方は売上高169億円(前年同期比69%)、営業損失8億円、当期損失8億円に留まっている。(靴部門の数値を筆者が試算、なおABCマートは現時点では未発表)

両社の決算を比較すると、売上総利益率の相違に気が付く。チヨダも前年同期48.9%から47.7%に若干低下しているが、ジーフットは前年同期 45.0%から30.3%へと急落している。
30.3%という売上総利益率は、粗利率が低い靴業界でも異常値である。ジーフットのような大手であれば、PBの値入率は60%以上、全体でも50%は下回らないのではないだろうか。

ちなみに、決算書から在庫売価を試算すると、2月末の在庫売価は636億円、5月末は471億円と165億円減少している。一方、売上高は140億円で、72億円の仕入(原価)もある。

相当な在庫評価替えを行ったものと推察するしかないが、異常値が出た一因として、同社の在庫評価方法が売価還元法であることも挙げられよう。
チヨダもABCマートも在庫評価は「移動平均法による原価法」である。POSシステムによる単品管理を行っていれば、原価法の方が管理しやすいし、商品のコントロールも容易である。イオングループにも「移動平均法による原価法」を採用している会社があるので、これを機に、原価法への変更をお勧めしたい。