㈱アマガサの経営再建(2)

4月28日に投資ファンド・ストライダーズ社の早川氏が社長に就任して経営再建が始まった。自分のように靴業界が長いと、この1年間でブランド価値が相当毀損したように見える当社の経営再建策としては、次のようなものしか思い浮かばない。2~3年のうちには黒字基調に戻せるかもしれないが、地味な施策なので投資家受けはせず、その間の資金調達が問題だろう。

①商品開発、経営資源を主力の「JERRY BEANS」に集中し、ブランド価値の向上に努める。
②直営ECショップの運営を強化し(コストもかける)、ECへの誘導に力を入れる。
③直営店(小売店舗)はブランド価値の向上に資し、かつ黒字の店のみを残して、その他は閉鎖する。
④既往取引先(小売店)へのトップ営業を行い、関係修復に努める。
⑤商品調達を練り直し、メーカートップとの信頼醸成に努めると共に、部材調達を含めたサプライチェーンを再構築する。
⇒ 数値目標としては、まずEC売上の前年比150%を目指す。

投資ファンドの早川社長であれば、靴業界人が思いつかないアイデアを実行するのではないかと思っていた所、7月7日に「インドネシア EC 企業との業務提携」を発表した。自分の固定観念では、インドネシアに婦人のケミカル靴のニーズがあるのかとか、木型が合うのかとか、マイナス思考に陥ってしまうが、今の時代は、そのようなニーズがあるのだろう。

このような発表があれば、株価は上がるのではないかと思ったら、新社長就任日(4月28日)の終値242円が、公表の翌日の7月8日には493円まで上がり、翌々日は573円の高値をつけ、出来高も多かった。この稿を書いている時点の株価は390円(7月23日、終値)である。
株価は反応したが、長続きはしなかったと見ればよいのだろうか。

増資を引き受けた投資ファンドに動きがないか、EDINETを検索してみたら、マイルストーン社が株価が上がった時期に株式を売却し、かつ新株予約権を行使して、1株264円で20万株を取得している。アマガサにとってもこの時期の資金調達は有難かっただろうが、マイルストーン社も相応の資金回収と、利益を得ているように思える。

さて、早川社長は次はどのような手を打たれるのだろうか? 経営再建は進んでいるのだろうか?
EC事業の売上前年比が一つのメルクマールだと思う。