中小企業診断士

今から30年以上前になるが、中小企業診断士の資格を取った。
その後、更新研修に行く余裕がなくなり、失効してしまったので、改めてチャレンジしてみようかと思ってテキストを見てみたが、昔と違いスマートになってしまった。資格を持っている方が良いに決まっているが、実務上は無くてもよいかなと感じた。

資格を取ったのは銀行に入って5年目、支店の融資担当から情報システム部門に異動になり、研修(主にアセンブラーというプログラミング言語)を受けていた時だ。
定時で帰れて、勉強する時間もあったので、いわば一夜漬けで勉強した。
当時の診断士は、受験の時から、商業部門と工業部門に分かれていたが、実家が商売を営んでいたので商業を受けた。店舗立地論とかは、親を見ながら興味を持っていた。

幸いに1次試験、2次試験と合格でき、銀行に休みを貰って実務研修を受けた。
記憶では、実務研修は2週間で2社、会社に行って資料を整理し、分析し、報告書を作成して相手に説明する。

1社目は、東京都多摩地区の個店のスーパーマーケットだった。指導の先生から、やったことがない部門を担当するように指示され、仕入部門になった。取引先リストが分析のスタートだったが、作られておらず、パソコンも存在していない時代なので、伝票をめくって、算盤で足し算して、大口仕入先リストを作った。深夜遅く家に帰り、翌日は店のシャッターが開くのを待って入り、続きを計算した。データを作るのに精一杯で、どのような指導をしたのか、全く記憶がない。

2社目は、東京都中央区の卸問屋だった。1社目が大変だったので、財務分析で許して貰った。こちらは既にある決算書を基に出来るので、報告書を作るのは比較的容易だった。自己資本が少ないとか、今から考えると赤面ものの報告だった。
これらの研修を通じて、診断士は随分泥臭い仕事だなと感じた。言い方を変えると「地に足がついている」仕事である。

6月~7月に繊研新聞に中小企業診断士の金久保健先生が「コンサルタントとの上手な付き合い方」を連載されていて、興味深く拝読していた。
30年前とは違って、今の診断士はスマートのようだ。そして実務は知らないのだろう。これは30年前の自分と同じだ。
今の自分の方が、資格はなくても、実務的なアドバイスが出来るような気がする。(最後は宣伝になりました。)