ワシントン靴店(富山)によるタケヤ事業の譲受
昨年8月に民事再生法を申請して再建中の、株式会社タケヤの全事業を株式会社ワシントン靴店(富山県富山市)が譲り受けることになった。
ここに至るまでには、色々な経緯(いきさつ)があったのだろうが、スポンサーが付かなければ破産に移行する懸念もあったように思う。株式会社タケヤの債権者である靴問屋、メーカーにとっても、破産でなく営業譲渡で62店舗の靴売場が残るのであれば悪いことではない。是非今までの経緯にとらわれずに与信判断を行って、各社の判断で対応して欲しい。
ワシントン靴店は「Parade」というブランド名でPB開発を進めていた。大手チェーンに対抗できる価格でPBを仕入れるには発注量が必要で、そのためには地元の北陸に留まらず首都圏への進出が必要と考えたのだろう。
営業譲渡のスキームなので、店舗の譲り受けに際しては、個々のSCの理解を得て、契約を結び直さなければならない。タケヤの従業員への教育も必要だし、情報システムの対応もある。現在の28店舗に62店舗が加わって90店舗になると店舗のオペレーションも大変だ。
これを2月21日の譲受日までに、進めていかなくてはならない。
中でも従業員の引継ぎと教育が鍵だと思う。ワシントン靴店の経営理念に賛同し、適応できる従業員を引継ぎ、教育していく必要がある。
現在のタケヤの店舗は、グローバルスニーカーを始めとするブランド品が入っていない。多分売上も相当ダウンし、店舗採算も昨年8月の民事再生申請時に較べ悪化していると思う。
ワシントン靴店は、2月21日以降はタケヤの店舗運営に関する全てのリスクを負うことになる。現状、グローバルスニーカーが入らない売場ではお客様から見て魅力がないだろう。早急に取引先との取引交渉を行わなければならないし、商品調達のための資金協力も得なければならない。各店別に春のMD計画を立て、商品を速やかに投入していかなければならない。3月中旬にはお客様から見て魅力的な売場を作り上げておく必要がある上、一度離れたお客様を呼び戻すのは大変だ。
春商戦は絶対に失敗できない。時間がない。自分だったら、ギブアップだ。
ワシントン靴店は、当然これらを百も承知で踏み切ったのだろう。
北川社長、頑張れ!
(2020年1月14日、2020年1月23日追加修正)